今回の本は
『生涯投資家』
(村上世彰著 文藝春秋)
です。
村上世彰氏の世間的なイメージって
おそらく悪いと思うんですよね。
2006年にニッポン放送株式に関わる
インサイダー容疑で逮捕されてますし。
当時の私は良く分からないなぁと思いながら
マスコミの報道するニュースを見ていました。
ただ私は個人的に日本のマスコミに対して
あまり好意的な感情は持っていないので
当時もホリエモンと村上氏を悪者扱いにして
既得権益を強引に守ろうとしているような
雰囲気を感じていたりもしました。
そのタイミングで投資に興味を持っていれば・・・・
リーマンショックで退場だったかもしれませんね。
たらればの話はやめましょう(笑)
述べていることは非常に当たり前のことのように感じる
投資の第一線で活動されている投資家の本ですので
非常に興味深い内容が多いですが
一部を抜粋して紹介します。
投資家はお金を増やすために投資をするのだから、基本的にはリターンが全てだ。リターンが全てというと目先の利益ばかり追求していると思われるかもしれないが、株式市場では長期の利益予想も織り込んだ上で株価が形成されるため、中長期的な成長も含めた株価の成長ストーリーを作らなければいけない。その意味では、すべての投資において長期投資という視点が必要なのだ。長期投資は良いが、短期投資は悪い、という論調をよく見かけるが、私からしてみると、短期投資と長期投資を分ける意味などない。
日本では、投資家とは「汗をかかずに大金を儲ける人」と悪く思われがちだ。残念ながら投資家のイメージがよくないのは、私にも原因があるかもしれない。しかしイメージの良し悪しにかかわらず、事業には資金が必要であり、資金を出すことによってリスクを取るのが投資家なのだ。
投資家のもう一つ大切な仕事は、投資先企業の経営を監視、監督することだ
~中略~
「物言う」ことは経営者が築いてきた過去の業績を批判する意味を持つ。だから経営者は「何も言われたくない」だろうが、日本企業の改革には、株主からのガバナンスが必要なのだ。「物言う」ことも投資家の大切な責務であると私は考えている。
引用:『生涯投資家』(村上世彰著 文藝春秋)p61-62
確かに言われてみればその通りだし
共感できる部分も多々あります。
また村上氏自身はお金を滞留させずに
如何に循環させて活用するかという点に
重きを置いているように感じましたね。
日本株へ投資するのは合理的なのか?
どうもこの本を読んでいると
日経平均が長期的に見て何故右肩上がりにならないのか
という点での問題提起をされているように感じました。
村上氏自身は
「コーポレート・ガバナンスの浸透と徹底」を目指し
日本経済の発展にこれからも寄与していきたいという
気持ちがあるようですし
この本の収益を日本における投資教育のために
使いたいとも述べていますが
それであれば最初からコーポレート・ガバナンスが
浸透し、徹底されている国の株を購入したほうが
良いのではないかとも感じました。
ただ私もまだ日本を見捨てたくはないので
国内株投資は続けますが
最終的に見切りをつけなくても済むように
してもらいたいものです。