今回の本は
『株式投資 第4版』
(ジェレミー・シーゲル著 林康史+藤野隆太監訳
石川由美子+鍋井里依+宮川修子訳 日経BP社)
です。
長期投資で成功するための完全ガイド
上記はこの本の副題ですが
英語の状態だと
The Definitive Guide to
Financial Market Returns
and Long-Term Investment Strategies
ということで
金融市場のリターンと長期投資戦略について
書かれているものだということが分かります。
読んでみると分かることですが
実際の金融市場での
過去の膨大なデータの積み上げから
長期投資としては株式投資が優位性がある(利回りが高い)
ということを述べています。
長期投資の参考書として有用だと感じた本書ですが
その中でもインパクトが強かった項目をご紹介します。
投資家が最もとってはいけない行動
投資家が最もとってはいけない行動は景況感を後追いすることである。
これでは、市場のセンチメントが楽観的なとき株式を高値で買い、
悲観的な見方が漂う相場の底入れ間近で売ることになってしまう。
投資家が学ぶべき教訓は明白だ。
実質的な経済活動の分析によって
株式投資を成功させるのは非常に困難である。
経済学者ですら、これに必要な洞察力は持ち合わせていない。
景気の転換点は、山であれ谷であれ、
数ヵ月後になるまで判定できない場合が多く、
判定できたときには、株式市場で行動を起こすには
既に遅すぎるのである。
引用:『株式投資 第4版』
(ジェレミー・シーゲル著 林康史+藤野隆太監訳 石川由美子+鍋井里依+宮川修子訳 日経BP社)p234
ガツンと来ます。
株式を底値で買って高値で売り抜ければ
膨大なリターンを得られることは
誰でも理解できると思うのですが
実際に転換点を正確に予測するのは
困難を極めるということを述べています。
どうしても人間は
景気の良い時には調子に乗るし
景気の悪い時には悲観的になるわけですが
そういった景況感とは
別なところに
判断基準を置くべきということなのでしょう。
株価が大きく動く原因
過去に株価が大きく動いた原因を検証すると、
重大な政治・経済ニュースに関連づけられるのは
全体の4分の1にも満たないという驚くべき事実が明らかになった。
これは、市場の先行きは予測不可能であり、
株価の動きを予測することが困難であることを物語っている。
-中略-
世界的な出来事は短期では市場にショックを与えるかもしれないが、
ありがたいことに長期では株価の特徴である
長期利回りを損なうことはなかったのである。
引用:『株式投資 第4版』
(ジェレミー・シーゲル著 林康史+藤野隆太監訳 石川由美子+鍋井里依+宮川修子訳 日経BP社)p251
先程の項目ともかぶりますが
結局のところ未来の状況というのは
予測が困難というよりも不可能に近いということです。
ただし長期投資という観点からすると
どのようなニュースも一時的なものでしかない
ということが述べられています。
過去のデータからどういう戦略を取るべきか
この本では第5部で
株式で富を築く方法について述べています。
読んでみた感想としては
何よりも予測困難な市場で重要なのは
過去のデータに基づく
長期成長可能なポートフォリオを組んだら
投資家の心理的な要因を極力排除して
愚直に継続するということ
なのかなと。
いずれにせよ株式投資をする上では
非常に参考になる書籍でしたので
再読必須で本棚に置いておきます。
ちなみに英語版だと
すでに2014年に第5版まで出ています。
英語に自信ないけど読んでみようかなぁ。