今回の本は
『決算書はここだけ読め!キャッシュ・フロー計算書編』
(前川修満著 講談社現代新書)
です。
キャッシュ・フローの重要性
会社の経営には、利益を獲得することが必要であることはいうまでもありませんが、利益を獲得すると、かならず、正味の資産が増加します。
一年間の事業活動で、正味の資産が増加したのか減少したのかを示した決算書は、「損益計算書」です。
いっぽう、資産には、「お金」の資産と「モノ」の資産があります。デフレの時代には、いたずらに「モノ」を増やしても、「モノ」は時の経過とともに価値を目減りさせてゆきますので、経営者は「モノ」よりも、「お金」を増やす経営を志向すべきです。
そこで、純粋に「お金」だけの増減を表示した書類の作成が求められるようになり、このニーズに応えるために作成されるようになった書類がキャッシュ・フロー計算書です。
このように本書で紹介するキャッシュ・フロー計算書は、会社が、事業活動でキャッシュ(お金)を増やしたのか、減らしたのかを示した書類です。
会社が、事業活動によって、お金を増やしているのであれば、その会社は正常な状態にあり、減らしているのであれば、苦しい状態にあるということを、キャッシュ・フロー計算書は示します。
その原理は単純ですが、いまどきのデフレの時代には、キャッシュ・フロー計算書は、きわめて利用価値の高い計算書類です。
引用:
『決算書はここだけ読め!キャッシュ・フロー計算書編』
(前川修満著 講談社現代新書)p36-37 太字は原著のまま
この本が発行されたのが2010年ですから
デフレ真っただ中の時代です。
正直なところを言えば
翌年には東日本大震災も発生する年ですし
良いイメージは全く湧かなかった頃ですね。
それはともかくとして
インフレであるにせよデフレであるにせよ
お金が正常に流れているかどうかを知ることは
家計でもそうですが
企業分析をする上でも重要なことです。
お金が流れなくなってしまえば
会社は倒産しますし
個人でも破産ということになりますから
インフレを目指しているとはいえ
まだデフレから完全に脱却しきれていない
現在でも有用な考え方だと感じます。
キャッシュ・フロー計算書の読み方
この本で述べられているのは、簡単に言えば
キャッシュ・フローは
- 営業活動
- 投資活動
- 財務活動
によるものに分けられていて
特に見るべきポイントは
1、営業キャッシュ・フローが黒字であること
2、営業キャッシュ・フロー+投資キャッシュ・フローが黒字であること
3、損益計算書の利益が黒字なのにキャッシュフロー計算書の
投資キャッシュ・フローが赤字になっていないこと
4、投資キャッシュ・フローの中身
といったことだと読み取りました。
ちなみに何社かのキャッシュ・フロー計算書を取り上げていますが
例としてサラリーマン家計の場合のキャッシュ・フロー計算書も
載っていますので
会社だとイメージしづらいかもしれませんが
個人でイメージすると分かりやすい部分もあると思いますね。
前著と同じくとても分かりやすかった。
前著である『決算書はここだけ読め!』もそうだったのですが
素人でも非常にわかりやすく
事例を挙げながらキャッシュ・フロー計算書の解説をしてくれています。
前著と同様におススメします。